グラフで見ることばの姿
<重要資料>
1.宮島達夫編『図説日本語 : グラフで見ることばの姿』
(角川書店, 1982)から次のデータを引用しました。
2.次は、読みと作文の心理
阪本 一郎(牧教育新書,1955) からの引用です。
横軸は年齢で6歳から20歳(満年月、半年刻み)、タテ軸はその年齢時の平均の理解語数、ひげは標準偏差です。語彙量の差は、年齢が進み語彙が増えるほど広がっていきます。20歳では、男子の最小が15,800語、最大が86,600語、女子の最小が19,700語、最大が71,300語でした。この差が知性や教養の差となってあらわれてきます。
子どもはどうやってボキャブラリーを増やしているのでしょうか?
現在の日本の子どもの90%以上が、小学校に入る前に、基本的な平仮名 (清濁音) をすべて読むことができるようになります。
学校に通う年齢の子どもたちは、どうやって語彙を習得していくのでしょうか。当然学校で学ぶことによってでしょうと考えたくなります。
ところが、学校で直接習う言葉の量は、子どもたちが1日あたりに獲得しているはずの新語の数からすると、あまりに少ないのです(学校の重要さは、量とは別のところにあります)。 語彙量の増加が学校でないとすれば、どこでしょうか? 次に目が向くところは「日常会話やテレビなど」です。実はこれも違います。日常会話やテレビは、言語刺激としては量的に巨大ですが、ことにボキャブラリーを増加させるような、新たな語彙に子どもが接する機会としては、あまり期待できないことが分かっています。
考えられるのは、子どもが自発的に本や雑誌などを読んで、新たな語彙を獲得している可能性です。英語圏での研究(Nagy&Herman 1987)ですが、推計では、1日25分の読書、1分あたり200語のスピードで年間200日読むと仮定すれば、子どもは年間で約100万語に接していることになるそうです。ここで読まれるテキストの中に1.5%から3%の新しい語が含まれているとすれば、子ども達は年に15000
〜30000語の新しい語に接することになるのです。これは驚く数字です。
推計では、未知語が現れる割合が3%以下の場合に(苦労なく推測できる)テキストから未知語を習得する割合が最大になり、その場合に出会った未知語の15%を獲得することができます。子どもたちが年間15000〜30000語の新しい語に接しているとすれば、最大で年に2250〜4500語、1日になおすと6〜12語/日を、自由な読書から習得することになります(もっともこの試算はすべてを高く見積もったものです)。
3.さて、日本語での事例として岸本裕史氏の調査を紹介します。
岸本氏は小学1年生と6年生に、国語辞典を使った簡易なボキャブラリー・サイズ・テストを行い、あわせて読書量や読書スピードを調べました。能力別に層化してボキャブラリー・サイズの大きさを比較した貴重な資料です。結果は次の表の通りです。成績レベルの最上位グループは1年につき5000語を習得した計算です
小学1年の時には2000語から7000語であった語彙数の差が、6年時には8000語から37000語と大きく開いています。
4.以上の結果から、語彙数増加と読書量の相関関係がよく分かります。
皆様へ目白言語研究室からのメッセージです。
目白言語では「作文力の前提」として、「語彙の獲得と読書」を重視しています。心(感情)と知性を育て立派な大人になるために、読書をたくさんしてほしいと願っています。
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